夕方、よく知るお客さまのだんなさんがひとりでやってきた。
家内に、誕生日の花束つくってください。大きいのと、ほんとにちっちゃいのをひとつ。
おこさんのいない、仲良しご夫婦のふたり。
「どうして?」と私はつい気軽に、作りながら聞いてしまった。
いつも寡黙なだんなさんは耳まで赤くなりながら、おなかが大きくなるジェスチャーをしてくれた。
そうなんだ!おめでとう!おめでとう!
そっか~、よかったねぇ、なんていいながら。
戸棚の奥からひっぱりだしてくる、とっておきの紙、とっておきのリボン。
こんなときのためにとってあったに違いないと思うくらい、ぴったり花束を包んでくれた。