初めて会った時は、服飾の学校に通う学生さんだった。
つんつんの金髪、とげとげの鋲やチェーンがいっぱいついた凝った服、ブーツ。
背が高くてかっこよくて、話し始めるととっても礼儀正しい男の子。
母の日に実家のお母さんにお花を贈りたいけれどお金がないし、でも気持ちだけは、と言って、小さなブーケを作って、その写真をお母さんにメールしていた。
ご両親が東京にいらした時、「どこに行きたい?」って聞いたら「あんたがいつも写真を送ってくれる花束の花屋さんに行きたい」って言ってくれたからって、みんなで遊びにきてくれた。
(嬉しかったなぁ)
就職して初めての母の日、アレンジメントを注文してくれて実家に送ったっけ。
(あれも嬉しかった)
大晦日、今日から帰省するっていって大きなバッグ持って寄ってくれて、「見せたい」って長ーい花餅を買って持って帰ってくれた。
(バッグから花餅がざくーんとつきでた姿を見送ったっけ)
とてもお似合いの可愛い彼女への花束もたくさん作った。
そして今年の春。
「結婚します」ふたりそろってやってきて。
「つきましては」
「ブーケを作ってください」
・・・・喜んで。
ウェディングブーケ、お色直しのブーケ、ケーキにのせる真っ白なリース、みんなに配る白いバラ、そしてリングピロー
たくさん、作った。
星の粒みたいなみどりの実に、リングをかける。
これからのふたりの未来に、たくさんの幸せが輝きますように。